
メディアは何を報道したか
本庄事件から犯罪報道まで
内容紹介
歴史の中で「現実」の報道や論評を素材に、その構造とそこで働く力学を明らかにし、「あるべきジャーナリズム」を考える。民撰議院建白書、満州事変、「環境ホルモン」など。
目次
はしがき--「あるべきジャーナリズム」への問い
Ⅰ メディアのいる場所
第1章 世論・メディア・政府
はじめに
1 一八七四年・民撰議院設立建白書
2 一九〇五年・日比谷焼打ち事件
3 一九三一年・満州事変
おわりに--四つの「構造モデル」
第2章 「国家」とメディア
はじめに--二十世紀最初の新聞紙面から
1 日露戦争従軍兵士の手紙
2 「国民」の創世記
3 「前・国民」の時代
4 民衆にとっての日露戦争
5 日露戦争と新聞
6 「軍神」の誕生
7 国民果たして戦いに倦みたるか
8 一九〇五年九月五日・日比谷公園
おわりに--〈「国民」とメディア〉のゆくえ
Ⅱ 占領下の言論空間
♣年表 占領とメディア・本庄事件
第3章 一九四九年の「夢」、一九五〇年の「現実」
――朝日新聞の「中立」社説
はじめに--「戦後民主主義」への視点
1 占領期の言説空間――言論統制権力の移行
2 一九四九年の「夢」――朝日新聞の「中立」社説
3 一九五〇年の「現実」――朝日新聞の「講和」社説以後
おわりに――「理想」主義の陥穽
第4章 新聞は「本庄事件」をどう報道したか
はじめに Case : Honjo Machi の再発見
1 出来事はどう語られたか――映画「暴力の街」
2 『朝日新聞社史』の中の本庄事件
3 朝日新聞キャンペーンの全容
4 GHQは何をしたのか――「かかわり」を超えて
おわりに――「メディア公共圏」の視点
Ⅲ 現代ジャーナリズムの難問
第5章 警鐘報道――「悪いニュース」は「いいニュース」
はじめに――「悪いニュース」
1 「洪水」の前
2 進んだ欧米/遅れた日本--ある企画記事から
3 「生殖障害」あるいは「生殖異変」
4 「洪水」の始まり--「精子の減少」と「多摩川のコイ」
5 「洪水」の広がり--「プラスチックは危ない」
6 「洪水」の後
7 「環境ホルモン問題の終焉」あるいは「環境ホルモン問題からの遁走」
おわりに--「警鐘報道」という名のセンセーショナリズム
♣年表 「環境ホルモン」とその報道
第6章 犯罪報道――「推定無罪」と「推定有罪」の間
はじめに--「犯罪報道」への視点
♣年表 名張毒ブドウ酒事件と犯罪報道
1 名張毒ブドウ酒事件--一つのケーススタディ
2 中間考察--「犯罪報道」の存在論(オントロギー)・試論
3 「無罪推定原則」と「犯罪報道」
おわりに--「犯罪報道」のゆくえ
読書ガイド
あとがき