編集部だより

■今回、巻頭にご執筆いただいた福与徳文先生の『災害に強い地域づくり――地域社会の内発性と計画』は、被災地域住民が話し合いにおいて発揮する「内発性」を強調されています。「自分たちの地域のことは自分たちで決める」というスタンスが、責任を引き受けて考えることにつながります。それは農業地域であっても(八木洋憲先生)、あるいは原発政策をめぐる国家単位であっても(小林健一先生)重要で、野田遊先生の「自治意識」にもつながることだと感じます。
■先﨑千尋著『評伝 山口武秀と山口一門――戦後茨城農業の「後進性」との闘い』が2月に刊行されました。原稿段階では様々な構想があったようでしたが改稿を重ねるなかで、本来の関心を中心として再編され、とても読みやすい構成・叙述スタイルの本となりました。血肉化された歴史の記述は多くの読者にしっかりと届いています。
■前回の『評論』220号には多数のご意見・ご感想をいただきました。編集の仕事をしていて楽しいときは、やはり先生方の原稿に触れたときの驚きや喜びをおいて他にありません。この仕事が著者の皆様に支えられていることに感謝しつつ、引き受けて考える作法でいきたいと思います。 (宙)