神保町の交差点

●山崎志郎先生(大妻女子大学)の『太平洋戦争期の物資動員計画』(二〇一六年、小社刊)が、日本学士院賞を受賞されました。学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して贈られます。研究書、なかでも経済史の分野を多く出版してきた小社にとっても大変喜ばしいことです。膨大な資料を読み解き、緻密に分析された山崎先生の長年のご研究の成果が評価されましたことを心よりお慶び申し上げます。
●『評論』読者の皆様にご報告があります。二〇一七年四月に小社を定年退職した編集者、谷口京延氏が、新元号にかわって間もない五月六日に永眠いたしました。享年六七歳でした。
●以下、故人を生前のまま「谷口さん」と呼ばせていただきます。訃報が入ったのは五月八日夕刻でした。
 今年の二月に、谷口さんからの間違い電話で会話する機会がありました。会社の近況報告を交え、他愛ない世間話をしたあと、体調を尋ねると、「絶好調」と返してくれたのですが、警察の説明では虚血性心不全(心臓発作)とのことでした。
 谷口さんは一九七七年に入社し、定年退職の日まで四〇年間勤め上げました。作った単行本は六二八点を数え、学会誌と資料で二〇七点、合わせて八三五点もの財産を小社に残してくれました。独特な風貌ときつめの言い回しで、去っていった著者もいたでしょうが、より多くの先生方に受け入れていただいたと感じています。私の顔を見ては「僅ちゃん、大丈夫?」と声をかけてくれ、日本経済評論社の行く末を心底心配し、在職中は力になってくれました。もう愚痴を聞いてくれることもありません。書きたいことはたくさんありますが、文字になりません。ここに、谷口さんが「絶好調」だった頃の写真を掲載させていただきます。
●栗原哲也(小社会長)が発起人となり、「谷口京延氏を偲ぶ会」を七月二七日、神保町「出版クラブ」にて十五時より執り行います。後程ご案内させていただきます。谷口さんの残してくれた先生方のご縁を大切に引継ぎ、社員一同、より一層の精進に努めます。