神保町の窓から(抄)

▼ビットコイン取引所破綻──集めた500億円どこへ/山口組系風俗店に6億円──進学塾代表が融資/ヨーカ堂11億円所得隠し/原発のゴミ──永田町に埋めろ/南海トラフ地震の廃棄物──東日本大地震の最大11倍……ロクなニュースが報道されない。安倍内閣の右傾化は自信に満ちて進められている。4月はわが社の決算月でもある。これもいいニュースにはならない。預金は増えず倉庫の在庫だけがたまる一方だ。こんなこと、ボヤいても始まらないのは判っている。家の掃除でもして気を晴らすか。先月から積み上げてきた古新聞を片づけようと腰を上げた。挟まれているチラシをふくめて胸の高さになった。新聞もつまらなく、広告ばかりが目につく。少し腹を立てて、どれだけ広告が載っているのか調べてみた。朝日新聞、今年3月1日、土曜日の朝刊を選んだ。意図はない。一番下にはみ出していたからだ。次頁がその成果! 1面12段を8等分して計算した。40頁。全部で480段になる。最終頁はTV欄だがこれも記事として計算すると、広告のない頁は6頁しかない。その6頁は14、15頁の社説とインタビュー欄、17、18頁の株式欄、そして37頁の社会欄とTV欄だけだ。先頭から見ていくと出版社の広告は、思いの外ハバを利かしていることが判る。ただ、弱小出版ではなく、いわゆるメジャーな出版社ばかりだ。この日は講談社はなかったが、新潮社、文芸春秋、小学館、集英社とつづく。旅行の広告も目立つ。格安京都の旅、豪華船でヨーロッパへ行こう、JTBと旅行会社が競っている。全面広告は15頁もある。一日の38%を占める。全480段のうち、広告は274段と2分の1段、なんと57%が広告だ。広告を見るために朝日を取っているようなもの。月4037円。たけーよ。それにくらべると毎日は同じ値段だが、広告が少ないだけ、読み応えがある。代えようかな。 ▼住んでいる地元に『女性の日記から学ぶ会』なるお勉強集団が結成されていて、友だちに誘われ会社を休んで行ってみた。この日は中央大学の吉見義明さんが、普通の職工が書き残した日記を解読してくれた。「石川島」で船を造っていた文学青年のものだ。だれもが体験している日常だが、その平凡な日常の連続のなかに、何を発見するのだろう。平泉澄は「百姓などに歴史があるか」と言うが、それに抗うかのような、女性主体の会。また行きたくなった。 (吟)

評論№195には、紙面構成の図が掲載されています。HPではこちらの図を掲載することができません。
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