神保町の交差点

●子供の頃、テレビの天気予報で「台風が接近中です」と聞いた時、なぜかワクワクし画面を見つめていた私。思い起こせば中学生の時、社会科で県史を学ぶ授業があり「日本三大暴れ川」(利根川・吉野川・(四国)筑後川)の内容で利根川の歴史について調べたことがありました。我孫子(千葉県)と取手(茨城県)の県境に旧利根川の名残りである古利根沼があります。利根川の流路が大きく湾曲していたため、この地域が台風の襲来による河川の氾濫が絶えなかったことから、1911年から1920年にわたり河川改修に取り組み、流路を直線化した際に残されたものです。
「近世、近代、現代と国と県は河川整備を行い、氾濫水害を防ぐようとり組んできたのに、なぜ今なお台風の度に水害が起きるのか」という生徒からの質問に、先生が「河川整備・改良はどの県どの地域でも日々行われています、護岸がコンクリートで補強されたとしても、水は弱いところ弱いところを探し護岸・堤防を削っていく、人間でいえば骨折した個所は以前にもまして強固になるが、同じような負荷がかかった時、その負荷は他の弱い部分に襲いかかる」「最善ということはなく改善を続けていくことが必要であり水は本当に怖いのだ」と答えてくれたのを思い出したのです。台風10号が本州をかすめながら九州に上陸し、気象庁は、「今まで経験したことがない~」や「常識が通用しない~」など、過激な言葉を用いながら注意喚起をしています。直近の九州熊本を襲った令和2年7月豪雨、局地的に降るゲリラ豪雨、最近聞くことの多い線状降水帯、年々酷くなる猛暑、いつ発生するかわからない自然災害のために、備えと対応が求められる日常となりました。
●自社の単行本を読者の目に触れるように書店を廻り、新刊をお勧めすることは専門書版元に限らず営業の日常です。コロナ禍で春先から業種にかかわらず、営業活動が非常に困難となりました。そのなかで、版元の営業マンらが新しい取り組みをしています。社名で登録したTwitterやFacebookへの単行本紹介の投稿方法を工夫しながら、お勧めしたい単行本の特設サイトや、特典などを自社ホームページに結び付けることでフォロワー数(閲覧者)を増やし認知度を高めているのです。また各地方で定期的に行われてきた商談会も、ネットインフラ企業の参入をきっかけに、遠方の個別の書店対応も含めたオンライン商談会も進められています。終息の見えない現状を考えれば、従来の営業活動をただ続けるだけではなく、状況に応じた小社に合う営業活動をどんどん取り入れていかなければと実感したのです。
●社業を続けていく中で、毎年何かしら問題が起こり、それらを処理することへの使命感に燃え対応してきましたが、最近は解決するより問題の方が多く山積していくようで気が気ではありません。このご時世、年内の各学会、研究会などは中止を余儀なくされ、オンライン会議での開催に移行しています。本来であればこれらの学会、研究会において報告を傍聴し、そのあとの懇親会でのささやかな出会いがあるからこそ、創案から本を作る計画へと変わり1年後、2年後に書籍が出来上がってきました。この人とふれあわないという時間をどう埋められるのか、可能な範囲で人と接したいと思います。