
近代日本の戦傷病者と戦争体験
内容紹介
「戦争の惨禍」や国家・社会の矛盾の象徴とされる一方、待遇改善の声をあげ、戦時は総力戦体制に組込まれた「癈兵」。日露戦争から日中戦争までの軌跡と戦場・戦争体験の固有性を明らかにする。
目次
序 章 なぜ戦場・戦争体験の固有性を問うのか
一 問題の所在――なぜ日露戦争の「癈兵」をとりあげるのか
二 本書の課題と分析視角
第一章 「社会復帰」と待遇改善運動――1920年代
はじめに
一 「社会復帰」における格差
二 「特権意識」と「棄民意識」
おわりに
第二章 「癈兵」の名誉と抑圧
はじめに
一 「名誉」と「自活」の論理
二 『戦友』と『後援』における「癈兵」のとりあげ方
三 国家・社会との相克
第三章 慰霊旅行記にみる「癈兵」の戦争体験
はじめに
一 障がい者としての「癈兵」
二 「帝国意識」と戦死者への「負い目」
おわりに
第四章 増加恩給獲得運動と傷痍軍人特別扶助令
はじめに
一 恩給制度・軍事援護制度の問題点
二 「一時賜金癈兵」による運動
三 断食祈願の弾圧と傷痍軍人特別扶助令の制定
おわりに
終 章 日本社会は「廃兵」をどのように扱ったか
あとがき