近代日本の戦傷病者と戦争体験

近代日本の戦傷病者と戦争体験

  • 著者:松田英里
  • 定価:3,960 円
  • ISBN:978-4-8188-2544-4
  • 判型:A5判
  • 頁:152頁
  • 刊行:2019年11月
  • ジャンル:歴史人文・社会

内容紹介

「戦争の惨禍」や国家・社会の矛盾の象徴とされる一方、待遇改善の声をあげ、戦時は総力戦体制に組込まれた「癈兵」。日露戦争から日中戦争までの軌跡と戦場・戦争体験の固有性を明らかにする。

目次

序 章  なぜ戦場・戦争体験の固有性を問うのか
    一 問題の所在――なぜ日露戦争の「癈兵」をとりあげるのか
    二 本書の課題と分析視角

第一章 「社会復帰」と待遇改善運動――1920年代
    はじめに
    一 「社会復帰」における格差
    二 「特権意識」と「棄民意識」
    おわりに

第二章 「癈兵」の名誉と抑圧
    はじめに
    一 「名誉」と「自活」の論理
    二 『戦友』と『後援』における「癈兵」のとりあげ方
    三 国家・社会との相克

第三章 慰霊旅行記にみる「癈兵」の戦争体験
    はじめに
    一 障がい者としての「癈兵」
    二 「帝国意識」と戦死者への「負い目」
    おわりに

第四章 増加恩給獲得運動と傷痍軍人特別扶助令
    はじめに
    一 恩給制度・軍事援護制度の問題点
    二 「一時賜金癈兵」による運動
    三 断食祈願の弾圧と傷痍軍人特別扶助令の制定
    おわりに

終 章 日本社会は「廃兵」をどのように扱ったか

あとがき