
フランス古典経済学研究
内容紹介
フィジオクラシーの思想的基礎。小農経営と危機的な再生産=蓄積。英国古典派に拮抗するもう一つの古典経済学。著者初期の苦闘の跡を遺す、未公刊学位論文。
目次
第一部 フランス古典経済学の基本性格
序言 フランス古典経済学の復位
第一論文 フランス古典経済学の理論的(基本)性格
[一] ケネー
[A] 『説明』での確認事項
[B] 原表の分析表
[C] 範式への移行の論理的必然性
[D] 範式の分析表
[E] 範式の理論的意義
[二] シスモンディ
[A] (『新原理』のライト・モチーフ)
[B] (古典経済学としてのシスモンディ経済学の骨格 I)
[C] (古典経済学としてのシスモンディ経済学の骨格 II)
[D] (シスモンディ恐慌論の素描)
第二論文 再生産過程把握における生産資本循環の意義
――古典経済学研究の理論的基準確定のために――
はしがき
[A] P……Pフォーミュラの「自然主義」的形態規定性
1 資本の循環諸範式における同一性と差別性
2 生産資本の循環形態そのものの「自然主義」的性格
[B] P……Pフォーミュラの資本制的内実
――資本蓄積過程の自己展開としての生産資本の循環過程――
[1] (G……G′の批判範式としてのP……P)
[2] (資本の蓄積過程と循環過程との結節点)
[3] (資本価値の流通と剰余価値の流通との分裂が提起する市場問題)
[C] P……Pフォーミュラに立脚する恐慌分析視角の特徴
I 生産資本循環における貨幣蓄蔵の必然性
2 恐慌分析の二面性
結語 本研究の構成
第二部 ケネーにおける自然法思想と経済学
――イギリス古典経済学(スミス)との関連において――
第一論文
A ケネーにおけるéconomie animaleとéconomie politique
I 生理学(エコノミー・アニマール)と経済学(エコノミー・ポリティーク)
2 自然学(フィジーク)と形而上学(メタフィジーク)
3 道徳学(エコノミー・モラール)と経済学(エコノミー・ポリティーク)
B フィジオクラシイと経済科学
一 「経済表の世界」について
二 「自然状態」について
三 「商業的社会」と「政治的社会」
第二論文
A ケネーとスミス I
――『国富論』第四篇における「農業主義」批判をめぐって――
一 コルベールティスムとフィジオクラシイ
二 フィジオクラシイと労働価値論
三 ケネーの生産的労働論とそれにたいするスミスの批判
B ケネーとスミス II
――スミスの重農主義批判――
I はしがき
II 重商主義批判体系の完成過程
III 『国富論』第四篇第九章の再検討
第三部 シスモンディの再生産=蓄積論と分割地所有論
――フランス古典経済学の独自的性格――
第一論文 シスモンディ経済学の再検討
――その再生産=蓄積論の基本構成をめぐって―― 上、下
序説
[一] はしがき
[二] レーニンによる「経済学的ロマン主義の特徴づけ」
[三] 『ロマン派経済学批判』の一般的性格をめぐって
[四] 問題の所在
本論
再生産=蓄積論の基本構成
――『経済学新原理』第二篇「富の形成と増進」の分析――
第一節 「歴史」把握の基礎視角
第二節 「資本」把握の特徴
第三節 「再生産」把握の特質
第四節 蓄積と「市場」の問題
第五節 付論「保護的権力」をめぐって
第二論文 シスモンディの分割地所有論
――経済学的ロマン主義の特徴づけに寄せて――
一 『新原理』第三篇「土地の富」の意義
二 経済学的ロマン主義の所有原則
1 「不動産」とは「幸いな簒奪」である
2 「国家学の二重目的」
3 「公共的功利の原則」
三 分割地所有の歴史的展望
1 「家父長制的農耕制度」
2 アメリカ的「繁栄」の道
3 分割地農民経営の牧歌的美化
4 大革命と分割地所有
四 「小農経済」と農産物価格
I 「分益小作制度」と「貨幣経済」
2 農産物価格形成機構と分割地農民経営
五 付論、資本主義農業の基本認識
補論
A スミスとシスモンディ
――経済的不調和の問題――
まえがき
I 「旧い体系の新しい見方」――方法と歴史観の問題――
II 「二つの所得の対立」――不平等の再生産構造――
III 「富の痙攣」――経済的不調和の問題――
B 分割地所有と地代範疇
――分割地所有の地代論的研究のために――
まえがき
一
二
三
C 分割地価格と土地所有
一 まえがき
二 分割地所有と土地価格
附論 名目地代について
解題
編者あとがき
分割地価格と土地所有
一 まえがき
二 分割地所有と土地価格
附論 名目地代について