
軍縮と武器移転の世界史
「軍縮下の軍拡」はなぜ起きたのか
内容紹介
前作『軍拡』後の、両大戦間期の軍縮会議・武器取引規制の取り組み、軍事技術と軍縮、日本における陸海軍軍縮の経済史の3点をキーワードとして議論を展開する。
目次
はしがき 横井 勝彦
第Ⅰ部 両大戦間期の軍縮会議・武器取引規制の取り組み
序 横井 勝彦
第1章 1920年代の海軍軍縮会議とその影響
──1927年ジュネーヴ海軍軍縮会議を中心として──
倉松 中
1 はじめに 7
2 ワシントン会議からジュネーヴ会議へ
3 各国のジュネーヴ会議に向けての準備
4 ジュネーヴ会議
5 おわりに──ジュネーヴ会議の影響──
第2章 戦間期の軍縮
──ウィルソンからフーヴァーまで── 西川 純子
1 はじめに
2 ウィルソンの軍縮
3 ワシントン軍縮会議(1921〜22年)
4 国際連盟の軍縮 43
5 ロンドン海軍軍縮会議(1930年)
6 おわりに
第3章 イギリス商務院の武器輸出管理政策と外務省との角逐
松永 友有
1 はじめに
2 通商政策をめぐる商務院と外務省との角逐
3 武器輸出規制政策をめぐる論争
4 武器輸出規制政策の転換
5 おわりに
第Ⅱ部 軍事技術と軍縮
序 横井 勝彦
第4章 東欧における武器取引
──絶頂期のフランス(1919〜30年)──
ジョナサン・グラント
1 はじめに
2 北東ヨーロッパ
3 南東ヨーロッパ
4 航空機
5 海軍向け取引
6 おわりに
第4章 東欧における武器取引
──大恐慌から再軍備まで(1930〜39年)──
ジョナサン・グラント
1 はじめに
2 イギリスの武器輸出
3 フランスの武器輸出
4 ドイツからの武器調達
5 トルコの武器調達戦略
6 おわりに
第5章 戦間期海軍軍縮の戦術的前提
──魚雷に注目して── 小野塚 知二
1 はじめに
2 装甲巨艦の論理とその弱点
3 魚雷の実用化
4 戦間期海軍軍縮の戦術的な前提と結果
5 おわりに
第6章 明治海軍形成期の建艦思想とベルタン
──軍備拡大制約下における軽量艦の開発── 飯窪 秀樹
1 はじめに
2 一般の海軍史における叙述の問題点
3 予算的制約と海軍の危機
4 ベルタンの招聘
5 「厳島」「松島」のフランスへの発注経緯
6 三景艦と「千代田」の設計
7 ベルタンの設計思想
8 おわりに
第7章 戦間期イギリスにおける光学ガラス・機器製造業者の再編 山下 雄司
1 はじめに
2 イギリス光学産業における第一次世界大戦の意義
3 戦間期の開始と光学産業の変化
4 光学ガラス製造業者の再編
5 光学機器製造業者の再編
6 おわりに
第8章 軍縮期における欧米航空機産業と武器移転 横井 勝彦
1 はじめに
2 第一次世界大戦以降の帝国防衛体制
3 「軍縮下の軍拡」と米独航空軍事技術の海外移転
4 おわりに──「軍縮下の軍拡」と極東武器市場──
第Ⅲ部 日本における陸海軍軍縮の経済史
序 奈倉 文二
第9章 ワシントン軍縮が日本海軍の兵器生産におよぼした影響
──呉海軍工廠を中心として── 千田 武志
1 はじめに
2 軍縮が日本海軍の兵器生産に与えた影響
3 軍縮が兵器製造所にもたらした変化
4 呉海軍工廠の生産の状況
5 呉海軍工廠の組織と労働環境の変化
6 おわりに
第10章 海軍拡張・軍縮と関連産業
──財閥系兵器関連企業を中心に── 奈倉 文二
1 はじめに
2 第一次大戦期・大戦直後の海軍拡張
3 ワシントン軍縮と「軍縮補償」
4 「軍縮下の軍拡」
5 財閥系兵器関連企業の動向
6 おわりに
第11章 陸軍軍縮と兵器生産 鈴木 淳
1 はじめに
2 第一次世界大戦〜軍縮期の陸軍兵器需給の概観
3 第一次世界大戦期の連合国軍需と兵器生産
4 軍需工業関係立法と民間工業奨励
5 軍縮と兵器需要の変化
6 軍縮期兵器生産の官民分担
7 おわりに