
経済学用語考
内容紹介
明治期に経済学はなぜ「理財学」と呼ばれたのか? 「系列」はいつから経済用語になったのか? 重工業と化学工業はなぜ「重化学工業」に合成されたのか? など、経済用語の謎を探る。
目次
はじめに
第1章 経済用語と日本語
1 「和製漢語」の鋳造
2 近代化と「絶えず新しいものを求める精神」
3 経済関連の翻訳語
4 西洋経済学の到来
5 「競争」と「戦略」
6 「談合」をめぐる談義
7 経済用語になった「系列」
8 「事業部」の名づけ親はだれか
9 「コンビナート」と「多角化」
第2章 経済学と「理財学」
──明治期になぜ経済学は「理財学」と呼ばれたのか──
1 「経世済民」
2 「経世済民」から「一種の学文」へ
3 「経世済民」論から「経済の定則」へ
4 大学における「理財学」
5 「理財」とはいったい何か
6 「経営」の語のうつろい
7 「理財」か「経済」か
8 なぜ大学では一時期「理財」だったのか
第3章 「産業」三分類の是非
──農林漁業はなぜ「第一次産業」といえるのか──
1 「産業」とは何か
2 「身代」から「」へ
3 「第一次産業」「第二次産業」「第三次産業」?
4 農林漁業はなぜ「第一次産業」なのか
5 A・フィッシャーの「生産段階」
6 「産業」か「生産」か
7 「鉱業」の分類について
8 有効期限の切れた産業分類
第4章 戦後の新用語「重化学工業」の誕生
──なぜ二つの産業は一つに合成されたのか──
1 「重化学工業」という合成語
2 重化学工業化の推移
3 「重工業及化学工業」から「重・化学工業」へ
4 工業の三区分
5 「重化学工業」と「軽化学工業」
6 W・G・ホフマンの「消費財産業」と「資本財産業」
7 新用語「重化学工業」の誕生
8 「重化学工業」誕生の時代背景
第5章 「コンツェルン」をめぐる誤謬
──決まり文句「カルテル・トラスト・コンツェルン」の不思議──
1 「カルテル・トラスト・コンツェルン」?
2 ドイツにおける‘Konzern’
3 日本特殊的な「コンツェルン」理解
4 「独占の最高形態」
5 日本における「親子型の企業グループ」の登場
6 企業の分社化と「企業グループ」
7 誤謬の原因──「財閥」の存在──
8 二重の「コンツェルン」
おわりに
索引