広告のあけぼの

広告のあけぼの

廣告社・湯澤精司とその時代

  • 著者:井家上隆幸
  • 定価:3,080 円
  • ISBN:978-4-8188-2270-2
  • 判型:A5判
  • 頁:352頁
  • 刊行:2013年05月
  • ジャンル:社会・政治人文・社会

内容紹介

沼間守一を社長とする東京横浜毎日新聞の広告部責任者から、明治21年、日本の広告取次業の嚆矢「廣告社」を創業した湯澤精司。広告業界のロマンと盛衰を活写する人間史話。

目次

序 章
 1 精司誕生
 2 天狗騒動
 3 宗門離脱運動と父伴蔵
 4 赤報隊の衝撃
 5 旧幕臣沼間守一・佐久間貞一、勇戦敢闘
 6 自由民権の旗をひるがえして操觚は闘う
 7 信州の自由民権運動──松澤求策と坂崎斌
 8 戸長・松島四季造と副戸長・湯澤精司
 9 沼間と佐久間と東京横浜毎日新聞
 10 沼間守一、開拓使払下げ事件で政府を糾弾する
第一章 血を滾らせて
 1 精司、沼間守一に見いだされる
 2 作本棟造という男
 3 精司、妻を迎え、福澤諭吉は広告の効用を説く
 4 江藤直純、弘報堂への道筋
第二章 広告取次創世紀開幕
 1 湯澤精司、未知の道に踏み出す
 2 瀬木博尚・光永星郎と精司、接近遭遇?
 3 儲かるところに進むべし
 4 三成社、正路喜社、萬年社も旗揚げ
 5 沼間守一は病に倒れ、佐久間貞一は精司に〈独立〉を勧める
第三章 独立不羈
 1 われこそは〈広告大博士〉なり!
 2 浅草・凌雲閣の広告一手引き受け
 3 広告界の奇才、廣目屋・秋田柳吉
 4 修善寺温泉で故沼間守一譲りの大演説
 5 探明局は〈本邦初〉の私立探偵社
 6 恵比寿ビール広告で馬越恭平に学ぶ
 7 全国一〇〇紙にライジングサン石油広告一手掲載取次
第四章 精司、寡占体制を牽引する
 1 ”大衆のメディア”に鍬入れ
 2 精司、業界の正常化に乗り出す
 3 大取次八社、東京新聞広告取次同盟会結成
 4 活動写真の輸入にも関係していた
第五章 廣告社の〈黄金時代〉
 1 創立一〇周年記念祝賀会
 2 村井VS岩谷〈たばこ戦争〉
 3 廣告社、村井煙草の関東新聞広告一手引受
 4 秋山定輔、二六新報を復刊
 5 看板企画〈医院案内広告〉を開発
 6 二六新報、岩谷松平をスキャンダラスに攻撃
第六章 独りわが道を往く
 1 業界改革の旗を押し立て、光永星郎登場
 2 湯澤精司は業界寡占体制の要
 3 孤立する精司に逆風襲いかかる
 5 〈嚆矢〉の誇りを押し立てて
 6 株式募集広告であわや墓穴を
第七章 死中に活を見出して
 1 日刊日本経済通信創刊!
 2 孤立を強いられてなお剛頑不屈
 3 沼間守一との約定を果す
 4 娘静江に故郷の家を託す
 5 知識の大衆化
 6 簇生する広告代理店
 7 江藤甚三郎、漫画通信社を立ち上げる
 8 関東大震災
 9 瓦礫の街に立ち上がる
 10 旧弊といわれようと廣告社の暖簾を守るには
 11 ”ブーム”には乗るな!
終 章
 1 広告代理業界の生存競争
 2 「日本経済通信」二〇周年を機に清、廣告社の舵を取る
 3 広告代理業〈嚆矢〉の人に栄光の日
 4 新社屋完成。七四歳いぜん矍鑠たり
 5 今に続く看板企画「学校連合広告」スタート
 6 ロサンゼルス・オリンピック選手団帰国歓迎イベント
 7 PR誌「廣告社ニュース」創刊
 8 社歌「廣告社の歌」を制定
 9 人の世は真に儘ならぬ……
 10 戦争のきな臭さの先取り?「広告豆タンク」
 11 電通、広告代理業専業として再出発
 12 精司八一歳、広告代理業創世紀をリードした男のラストステージ
 13 つかの間の軍需景気
 14 八九歳大往生

あとがき
参考文献
人名索引