
広告のあけぼの
廣告社・湯澤精司とその時代
内容紹介
沼間守一を社長とする東京横浜毎日新聞の広告部責任者から、明治21年、日本の広告取次業の嚆矢「廣告社」を創業した湯澤精司。広告業界のロマンと盛衰を活写する人間史話。
目次
序 章
1 精司誕生
2 天狗騒動
3 宗門離脱運動と父伴蔵
4 赤報隊の衝撃
5 旧幕臣沼間守一・佐久間貞一、勇戦敢闘
6 自由民権の旗をひるがえして操觚は闘う
7 信州の自由民権運動──松澤求策と坂崎斌
8 戸長・松島四季造と副戸長・湯澤精司
9 沼間と佐久間と東京横浜毎日新聞
10 沼間守一、開拓使払下げ事件で政府を糾弾する
第一章 血を滾らせて
1 精司、沼間守一に見いだされる
2 作本棟造という男
3 精司、妻を迎え、福澤諭吉は広告の効用を説く
4 江藤直純、弘報堂への道筋
第二章 広告取次創世紀開幕
1 湯澤精司、未知の道に踏み出す
2 瀬木博尚・光永星郎と精司、接近遭遇?
3 儲かるところに進むべし
4 三成社、正路喜社、萬年社も旗揚げ
5 沼間守一は病に倒れ、佐久間貞一は精司に〈独立〉を勧める
第三章 独立不羈
1 われこそは〈広告大博士〉なり!
2 浅草・凌雲閣の広告一手引き受け
3 広告界の奇才、廣目屋・秋田柳吉
4 修善寺温泉で故沼間守一譲りの大演説
5 探明局は〈本邦初〉の私立探偵社
6 恵比寿ビール広告で馬越恭平に学ぶ
7 全国一〇〇紙にライジングサン石油広告一手掲載取次
第四章 精司、寡占体制を牽引する
1 ”大衆のメディア”に鍬入れ
2 精司、業界の正常化に乗り出す
3 大取次八社、東京新聞広告取次同盟会結成
4 活動写真の輸入にも関係していた
第五章 廣告社の〈黄金時代〉
1 創立一〇周年記念祝賀会
2 村井VS岩谷〈たばこ戦争〉
3 廣告社、村井煙草の関東新聞広告一手引受
4 秋山定輔、二六新報を復刊
5 看板企画〈医院案内広告〉を開発
6 二六新報、岩谷松平をスキャンダラスに攻撃
第六章 独りわが道を往く
1 業界改革の旗を押し立て、光永星郎登場
2 湯澤精司は業界寡占体制の要
3 孤立する精司に逆風襲いかかる
5 〈嚆矢〉の誇りを押し立てて
6 株式募集広告であわや墓穴を
第七章 死中に活を見出して
1 日刊日本経済通信創刊!
2 孤立を強いられてなお剛頑不屈
3 沼間守一との約定を果す
4 娘静江に故郷の家を託す
5 知識の大衆化
6 簇生する広告代理店
7 江藤甚三郎、漫画通信社を立ち上げる
8 関東大震災
9 瓦礫の街に立ち上がる
10 旧弊といわれようと廣告社の暖簾を守るには
11 ”ブーム”には乗るな!
終 章
1 広告代理業界の生存競争
2 「日本経済通信」二〇周年を機に清、廣告社の舵を取る
3 広告代理業〈嚆矢〉の人に栄光の日
4 新社屋完成。七四歳いぜん矍鑠たり
5 今に続く看板企画「学校連合広告」スタート
6 ロサンゼルス・オリンピック選手団帰国歓迎イベント
7 PR誌「廣告社ニュース」創刊
8 社歌「廣告社の歌」を制定
9 人の世は真に儘ならぬ……
10 戦争のきな臭さの先取り?「広告豆タンク」
11 電通、広告代理業専業として再出発
12 精司八一歳、広告代理業創世紀をリードした男のラストステージ
13 つかの間の軍需景気
14 八九歳大往生
あとがき
参考文献
人名索引