
都市に村をつくる
「協同組合コミュニティ」に根ざした国づくりのために
内容紹介
人間らしく働き、人とつながって暮らす――それは「夢物語」ではない。人間中心の社会に変える「武器」としての思想と実践例をとおし、国のかたちを変える道しるべを示す。
目次
はじめに
序 章 レイドローと協同組合コミュニティ論
第Ⅰ部 協同組合コミュニティという思想
第1章 レイドローの協同組合コミュニティ論とは何か
1 グローバリゼーションとコミュニティの再評価
2 「協同組合セクター」と「協同組合コミュニティ」のあいだ
3 抑制された政治的メッセージ
4 「協同組合コミュニティ」の着想の背景
5 グローバリゼーションと協同組合コミュニティへの期待
第2章 協同組合コミュニティの思想的背景
1 テンニエスのゲノッセンシャフトとは何か
2 ギールケの中間団体論の意義
3 ハーストの現代アソシエーション型国家
第3章 協同組合・コミュニティ・国家――世代論的考察
1 第一世代――コミュニタリアンによる草創期
2 第二世代――ロッチデール方式の協同組合
3 第三世代――「福祉国家」のもとでの協同組合
4 第四世代――「公共の利益」をはかる外向きの組織へ
第Ⅱ部 協同組合コミュニティへの胎動
第4章 バスク協同組合法の意義
1 バスクの自治憲章と社会的インフラとしての協同組合
2 第四世代型のバスク協同組合法――協同組合コミュニティづくりへの布石
3 バスクの協同組合の種類
4 協同組合にたいする国家の支援と監督
5 協同組合の連合組織
6 多国籍企業化したモンドラゴン協同組合の提起する問題
第5章 イタリアの社会的協同組合の挑戦
1 社会的協同組合とは何か
2 CGMとそのネットワーク
3 アンドロポリス社会的協同組合
第6章 廃棄物処理・コミュニティ農業・田園都市
1 協同組合が国家の機能を代替する動き
2 廃棄物から考える――下からのグローバリゼーション
3 コミュニティ農業とは
4 田園都市と協同社会の実現
第7章 協同組合コミュニティ論から見た日本の生協と農協
1 生協が「広域流通組織」を脱するには
2 農協は農業経営を代行すべき
3 外資に買われる日本の山林
第Ⅲ部 ワーカーズ・コープ発展のために
第8章 日本の社会運動としてのワーカーズ・コープ
1 社会運動としての初期生活クラブの運動
2 「新自由主義」対「新社会運動派」
3 企業社会におけるインフォーマル労働とフォーマル労働
4 協同組合にとっての「新社会運動」の可能性
第9章 ワーカーズ・コープにおける人的資本の意義と会計システム
1 人的資本の価値とワーカーズ・コープ
2 一般企業会計の限界
3 人的資本の定義
4 ワーカーズ・コープにおける人的資産の算定
5 人的資本の会計
6 人的資本の減価償却
7 人的資本会計の効用
結 び
付 録 一九九三年六月二四日バスク協同組合法(抄)
あとがき
参考文献