
内田義彦論
ひとつの戦後思想史
内容紹介
日本社会に蔓延る権威主義に抗して、「自立した個人」の育成と「柔軟で公平な社会」の実現を目指した内田義彦の市民社会思想の核心に迫る。
目次
第1章 『経済学の生誕』まで
1 学問修行における心の垂鉛
2 『潮流』論文と生産力論
第2章 『経済学の生誕』の世界
1 歴史の科学としての古典経済学
2 旧帝国主義批判としての『国富論』
3 歴史認識と自然法
第3章 日本思想史研究とスミス・ヴェーバー
1 知識青年の諸類型と「近代的なホモ・エコノミクス」の探求
2 河上肇の「啓蒙主義史観」と田口鼎軒の「ブルジョア合理主義」
3 日本の思想とスミス・ヴェーバー
第4章 社会を見る眼の構造を変える武器としての社会科学
1 内田マルクスから見える世界
2 社会科学的認識と市民社会
3 内田義彦における市民社会
第5章 創造現場の社会科学
1 民衆と学問
2 社会認識の術としての学問
3 消費財としての社会科学
補論 感情の哲学者スミス
1 情念論の系譜──他者の存在と感情的寄生関係──
2 スミスの知識論──学的探究の原理としての感情──
3 スミスの社会理論──共感的社会形成論──
4 スミスの経済秩序認識──スミス経済学における他者の存在─
むすび
参考文献