
欧州統合の半世紀と東アジア共同体
内容紹介
ヨーロッパ統合が動き出して半世紀以上たつ。統合の推進力である仏独の和解と関係を多角的に論じ、東アジア共同体構想の現状と課題を展望する。
目次
はしがき I
第1章 1945年以後の記憶の争点と仏独和解 ロベール・フランク/廣田功訳
はじめに
1 記憶のなかの「他者」イメージの変遷
2 協調から和解へ──政治的意思と政治的介入
3 和解における知識人と青年の役割
おわりに
第2章 1945年以降の独仏の社会関係 ハルトムート・ケルブレ/永岑三千輝訳
はじめに
1 フランスとドイツの社会の交流と結びつき
2 フランスとドイツの社会的な収斂と乖離
3 社会モデルについての論争
4 相互の科学的観察
おわりに
第3章 独仏関係の政治的射程──エリゼ条約を超えて── 川嶋周一訳
はじめに
1 冷戦期における独仏関係──エリゼ条約の成立過程のなかの「ドゴール的前提」
2 冷戦後の世界政治における独仏関係──フィッシャー演説からイラク戦争まで
おわりに──独仏関係の政治的射程
第4章 ドイツ、フランスと欧州の制度秩序──欧州経済共同体EEC)からリスボン条約までの発展傾向──
ヨアヒム・シルト/福永美和子訳
はじめに
1 欧州統合に関する独仏の憲法理念
2 EUのハイブリッドな性格──独仏の「取引」の帰結
3 EUの正当な政治秩序に関する独仏の考え方の収斂?
おわりに
第5章 拡大ヨーロッパにおける仏独関係──リーダーシップは今日でも正当か?──
クリスチャン・ルケーヌ/廣田愛理訳
はじめに
1 ドイツ再統一は単一通貨の実現を危険にさらしてはならない
2 東欧の共同体加盟を支持するか抑止するか?
3 合理化された拡大とともに
4 イラクに関する分裂からサルコジとメルケルの新しいヨーロッパ政策へ
第6章 ドイツ、ヨーロッパ、世界の間──1957年以後のフランス経済の活動範囲──
ジャン-フランソワ・エック/廣田功訳
はじめに
1 開放への転換
2 開放の伝統と開放への躊躇
おわりに
第7章 ドイツ産業界の最高団体と1945年以降のヨーロッパ統合──動機・構想・政策──
ヴェルナー・ビューラー/田中延幸訳
はじめに
1 超国家主義と政府間主義の間──マーシャル・プランから「ルクセンブルクの妥協」へ
2 新しいプロジェクト──古い問題
3 深化と拡大──1990年代の挑戦
おわりに
第8章 統合ヨーロッパのなかの植民地──1930年代フランスとユーラフリカ── 平野千果子
はじめに──ローマ条約と植民地
1 ユーラフリカの誕生
2 ゲルニエとヴァロワ
おわりに──ユーラフリカの発展
第9章 国境を越える教科書──独仏共通歴史教科書の内容と実践── 西山暁義
1 独仏共通歴史教科書に対する反響
2 共通教科書の現在の使用状況
3 ヨーロッパ共通教科書への第一歩?
4 日本、東アジアへの射程
第10章 仏独文化関係の新段階のなかでの仏独歴史教科書
ピエール・モネ/剣持久木訳
はじめに
1 1990年──ドイツ、仏独そしてヨーロッパにとっての意味
2 変化の力学と変化の相互認識
3 二つの国のための一つの歴史教科書
4 共通歴史教科書を作る
5 現代の重み
6 仏独プリズムの射程と限界
おわりに──1990年直後を振り返って
第11章 二国間、ヨーロッパの文化関係における独仏青少年 事務所(DFJW/OFAJ)
ハンス・マンフレット・ボック/西山暁義訳
はじめに
1 国際政治の機関としての独仏青少年事務所の地位の両義性
2 構成原則としての国家行政と社会諸組織の相互依存関係
3 行動指針としての目標設定とプログラム装置
第12章 東アジア自由貿易協定(EAFTA)の可能性──新地域主義の性格と課題── 深川由紀子
1 東アジアの地域主義──アジア太平洋協力(APEC)を超えて
2 東アジアをめぐる二つのジレンマ
3 APECへの回帰?
4 ジレンマの向こうにある制約
5 FTA基軸の地域主義とその課題
6 東アジア経済統合と日本の戦略
第13章 EUと東アジア共同体 坪井善明
はじめに──EUから何を学ぶか
1 東アジア共同体構想の進展
2 東アジア共同体構想の主体
3 東アジア共同体構想の問題点