張謇と渋沢栄一

張謇と渋沢栄一

近代中日企業家の比較研究

内容紹介

開国から急速な近代化を遂げた日本、紆余曲折の末、近代化に遅れた中国。実業思想や株式会社制度、企業経営および商工業界の動向をめぐり二人の企業家に焦点を当てる。

目次

目次
日本語版によせて i
周見氏著作まえがき iii
序 vi
序 章 研究の目的、方法と構成
第1節 研究の目的と意義 
第2節 研究方法 
第3節 内容構成 
第1章 中日両国近代企業家の発生およびその構成上の差異
はじめに 
第1節 江戸時代の商品経済の発達と商人 
1 商品経済の発展とその原因 
2 江戸時代の商人 
第2節 工業化と近代企業家集団の形成 
1 殖産興業と工業化の組織者としての新政府の役割 
2 日本の近代企業家の特徴 
3 政商の形成とその財閥への転換 
4 専門経営者の早期出現とその企業経営における役割 
5 指導者型企業家と商工庶民型企業家について 
第3節 アヘン戦争前の中国社会構造と商人 
1 清朝の経済基盤 
2 清代商品経済の発展水準 
3 アヘン戦争以前の中国商人 
第4節 中国封建社会の転換と近代企業家の形成 
1 洋務運動の勃興と甲午(日清)戦争後の政策転換 
2 買弁型企業家の形成 
3 官僚型企業家の出現 
4 紳士および工商庶民型企業家 
第5節 近代中日両国企業家集団の比較 
1 買弁型企業家はなぜ近代日本で大きな集団を形成しなかったのか 
2 近代中国にはなぜ日本型の政商が出現しなかったのか 
3 近代中国の専門経営者について 
第2章 近代日中企業家の代表人物──渋沢栄一と張謇──
はじめに 
第1節 日本の著名な企業家─渋沢栄一 
1 企業家になる前の渋沢栄一 
2 商工業界に身を投じたのちの渋沢栄一 
第2節 近代中国の企業家─張謇 
1 青少年時代の張謇と彼の士大夫への道 
2 商工業界に身を投じた後の張謇 
第3節 渋沢栄一と張謇の経歴と近代日中社会 
1 渋沢栄一の「早年出仕」と張謇の「大器晩成」 
2 渋沢栄一と張謇が官を辞して商工業に従事した共通の原因 
3 渋沢栄一の訪欧と張謇の訪日 
4 渋沢栄一と張謇の政治に対する姿勢と社会背景 
第3章 渋沢栄一と張謇の実業思想
はじめに 
第1節 渋沢栄一の実業思想 
1 賎商思想に対する批判と『論語』の新解釈 
2 道徳経済合一思想の主な内容 144
3 道徳経済合一思想と日本の儒教資本主義 
第2節 張謇の実業思想 
1 『代鄂督条陳立国自強疏』に現れる実業思想 
2 張謇の綿鉄主義 
第3節 張謇と渋沢栄一の実業思想の比較 
1 張謇と渋沢栄一の儒教思想の特徴 
2 張謇と渋沢栄一の儒教思想の違いとその原因 
第4章 張謇、渋沢栄一と中日両国における株式会社制度の形成
はじめに 
第1節 渋沢栄一と日本における株式会社制度の確立 
1 株式会社制度の知識の啓蒙と『立会略則』 
2 日本最初の株式会社──第一国立銀行の創立── 
3 株式会社の制度上の健全さと渋沢栄一の役割 
第2節 中国における近代株式会社の形成と張謇 
1 初めての株式会社──輪船招商局の誕生── 
2 官督商弁企業の初志と失敗 
3 張謇の株式会社創設の実践 
4 張謇と中国の会社法 
第3節 中日両国の株式会社が異なる発展を遂げた原因 
1 株式会社の形成発展における両国政府それぞれの役割 
2 官利制度について 
3 中国の株式会社の普及におけるその他の阻害要因 
第5章 渋沢栄一と張謇の企業経営および商工業界における活動
はじめに 
第1節 渋沢栄一の企業経営と商工業界における活動 
1 渋沢栄一と第一国立銀行の経営 
2 渋沢栄一の多種多様な企業活動 
3 渋沢栄一の経済団体活動 
4 渋沢栄一の企業活動と井上馨 
第2節 張謇の企業経営と商工業活動 
1 大生紗廠創設の過程 
2 中国近代紡績企業の状況と大生紗廠の成功
3 張謇の経営多角化戦略 
4 張謇の商工業界活動 
5 張謇と張之洞の人的結合 
第3節 張謇と渋沢栄一の企業活動の比較 
1 官職と経歴の企業活動への影響 
2 「通官商之郵(官商ノ郵ヲ通ズ)」活動の異なった性格 
3 経営活動における異なる特徴と理念上の要因 
第6章 張謇と渋沢栄一の異なった歴史的結末と教訓
はじめに 339
第1節 大生企業グループの成功から失敗へ 
1 大生企業グループの拡張 
2 債務危機の発生と大生企業グループの解体 
3 企業経営失敗の個人的要因 
第2節 張謇と渋沢栄一との比較からの啓発 
1 張謇と渋沢栄一の企業活動の成否と社会環境 
2 いかに失敗者としての張謇を評価するのか 
3 張謇と渋沢栄一の精神遺産 

主要参考文献 
あとがき